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▼インターネット的
「インターネットそのものが偉いわけではなく、インターネットは人と人をつなげるわけですから、豊かになっていくかどうかは、それを使う人が何をどう思っているのかによるのだとぼくは考えています」
糸井重里のこの言葉に、本書のテーマと主張がつめ込まれている。
人々のこの新しいつながり方、豊かさ、あるいは新しい価値観(「インターネット的」としている)を、自らが主宰する人気サイト「ほぼ日刊イトイ新聞」の体験をもとに示していこうという。
その行き着くところにユートピア的な世界を見出そうとする、野心作といえる。
「インターネット的」世界については、さまざまな観点から説明されている。
その特徴には、「リンク」「フラット」「シェア」という「3つの鍵」があるとしている。
人と人との自由意志的なつながりや、満足し合い、分け合うという意識などが、そこでの重要な価値になっているというのだ。
糸井自身が生きてきた広告・メディア業界を支配する価値観、プライオリティーは、その対極にあるものとして批判的に語られている。
さらに、信頼や本音の関係を基礎にした「インターネット的思考」や、消費の立場から「クリエイティブ」を実現する方法などの行動指針についても提言されている。
体験から「ワン・トゥ・ワン」「消費者主権」といったビジネス用語のウソを暴く記述などもあり、おもしろい。
インターネットの可能性やその未来像を論じた書物は数多いが、本書は2つの点で際立っている。
ひとつは、文科系の視点しかもたない職業的コピーライターの手により、インターネットが鮮やかに表現されている点である。
もうひとつは、論じられる世界を著者が実際につくり出し、すでに生きている点である。
いまだ「実験中」という雰囲気が漂っている、生々しさのある書物と言えるだろう。
バラ色のインターネット観と現在進行形の説得力、そして世界を語る熱気が印象深い。
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▼フューチャリスト宣言
読後感、一発!面白かった!!
本書では、フューチャリストを、未来を創造していく人だと定義しています。
1.オープンであることによる過剰な経済の到来
2.総合力を持つこと、もしくは好きなことにどっぷりとのめりこむ生き方
などを中心に梅田望夫と茂木健一郎の間で、対話が進みます。
茂木氏が「サーチ・アンド・チョイスのチョイス場面で,どういう指向性を持てるか,ということが大事だという気がするんですね。」というように,チョイスを輝かしい未来と見るか終わり無き日常と見るかによって日々の楽しさが変わってきてしまうわけです。
フューチャリストという指向性が技術者の側から提示されているのはある意味非常に面白いところ。
テキストの量は新幹線で一気に読みきれる位の薄さですが知的刺激がすごくて、本を閉じてしばし妄想、ちょっと読んでまた妄想・・・と、過激なオープン思想の果てに現れる近未来に思いをはせる楽しい読書時間を過ごしました。
出でよ!若きフューチャリスト!!
本書を読んで、明るき未来を楽天主義で生き抜こう。
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ウェブ進化論とグーグル
もはや、定番となった本、2冊の紹介です。
▼ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる
著者は、ネットの「あちら側」と「こちら側」というユニークな視点で、Webの進化がもたらす影響を解説する。
あちら側とはGoogle、Amazonなどがネット上でサービスを展開する世界。
こちら側とは、企業内で閉じた情報システムなどのローカル環境を指す。
・・・・・・まぁ、今となってはもう「あちら側」も「こちら側」も無い世界で、混沌とした楽しい混乱の時代です。
さて、本書は、その新しいウェブの世界がどう展開してきたか、これからどう展開するのか、という割とありきたりの、どこにでも有りそうな本なのですが、さにあらん!
ただの技術的な話ではなく、新しい「在り方」なんぞを説いている、極めてオープンな話になっている。
これはもう、筆者の梅田 望夫さんの性格なのでしょう。明るい未来が待っている!という感じで、読んでいて気分は悪くありません。
あまり、こういうネット関係の詳しい話に興味が無い人にも「へー!!」と楽しめる、鉄腕アトムのような本なのでした。
今まで、ネットを利用していたけれど、本道はどんな世界か興味が無かった人は是非、どうぞ。楽しめます。
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【併せて読むと3倍面白い!】
▼グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する
説明不要の一人勝ちの巨人(と言っても野球じゃない)のお話です。
なぜグーグルはそれほどのパワーを持ち、そしてどのような影響を社会に与えようとしているのか、そのあたりを噛み砕いて説明しています。
僕は個人的にはグーグルに恨みを持っていますが(ちなみにヤフーにも)、それでもやはり、その脅威は信じがたいものがあります。
そのうち、僕の頭の中も(あなたの頭の中も)検索できるようになったりして、ね。
ちなみに、僕の友人がこの本を読んで、勝手にビジネスを立ち上げて、どうやら当たっているらしい(信じるものは救われる)。
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