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▼病気はなぜ、あるのか(進化医学による新しい理解)
私たちの体はこんなにもうまくできた構造をしているのに、なぜ病気にかかりやすいのだろうか。
本書は「ダーウィン医学」(=「進化医学」、チャールズ・ダーウィンの自然淘汰の理論)をベースにして、病気やケガ、老化など我々にとって身近で重要な問題を、2人の進化学者がわかりやすく解説したものである。
著者らは病気の原因として、防御、感染、新しい環境、遺伝子、設計上の妥協、進化の遺産の6つを挙げている。
そして、それぞれのカテゴリーの中で、病理は真価を認められないある種の利益と関係しているという例を紹介している。
人間にとって病気は憎むべき存在だという思い込みが、根底から覆されるような考え方である。
我々の体は長い時間をかけて、種の繁栄に有利なように進化してきていて、さまざまな肉体の現象は、どれもこの目的を果たす上で有効なのである。
医学を進化の視点で見ることは、病気の進化的起源を理解するのに役立ち、その知識は医学本来の目標を達成するのに大いに役立つ、と著者らは自信をもっている。
そして、我々は本書を手にすることによって、彼らの自信に間違いがないことを知るだろう
例えば、記憶中枢である側頭葉が選択的にダメージを受けるアルツハイマー病。
米国国立老化研究所(NCI)の研究者は脳の中でも最近になって進化した部位の異常が集中することに注目し、「過去400万年以上にわたって、人間の脳を非常に急速に増大させた遺伝子の変化が、ある人々にアルツハイマー病をおこさせているか、または、他の遺伝子の変化によって打ち消されることがまだないような副作用を生んでいるのではないか」と提案している。
痛風はどうだろうか? うつ病は? 分裂病や児童虐待にも適応的な意味はあるのだろうか?
答えはすべて本書に書かれている。
医療関係者はもちろんのこと、生命や人間、動物、遺伝、病気などに興味のある人にお奨めです。(目から鱗がたくさん落ちます。)
ただし、信じるかどうかはもちろん、あなた次第です。
著者のネシー氏はミシガン大学(Univ.Michigan)精神医学部教授で適応進化研究部門の代表、ウィリアムス氏は遺伝子淘汰説の提唱者の1人。
生物の形態や行動に、永い進化の過程で培われた適応的な意味があるように、罹病や老化といったプロセスにさえ進化的な意味があると主張する。
●病気はなぜ、あるのか―進化医学による新しい理解
●病気はなぜ、あるのか―進化医学による新しい理解
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▼メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学
科学、事実、感想、捏造、善意、悪意、マスコミ・・・・・・など等、多角的に「あやしい健康情報」と「ニセ科学」について考えます。
こういうことを知らせるのも「科学者」の仕事だよね。
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▼「悩み」の正体
すっかりマスコミで有名になった精神科医の香山 リカによる著書。
本来なら悩みになる必要がなかったようなことが“悩みに昇格してしまう”現代社会。
本書には、こういった悩みとどう向き合うか、そのヒントが散りばめられている。
状況を冷静かつ客観的に分析し、「そんなに肩に力を入れる必要はない、ちょっとだけ見方を変えてみよう」そんな感じのアドヴァイスがとても優しく響く。
権威ある大学教授が書いた自己啓発本にありがちな押し付けがましさがなく、相談者・患者さんの目線でいっしょに考えてくれている、そんな香山さんの姿勢が感じられる一冊だった。
「悩み」そのものは生命誕生とともに生まれたと思うが、今、ならではの悩みもある。
例えばインターネットで陰口を叩かれるとかね。
永遠の課題である悩みを、今、生きる人は向き合ったらいいのだろう?
本書はそこにヒントを投げてくれる。
悩みなんて、無いほうがいいに決まっているが、決して無くせないのなら、どう対処するか、という術を身に着けておかないと、この人生は歩けない。
この本を読んで、「ホッと」する人も多いだろうね(僕もそうだけど)。
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■医学・薬学の本(その1)はこちら |
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